1 ナアマ人ツォファルが答えて言った。
2 ことば数が多ければ、
  言い返しがないであろうか。
  舌の人が義とされるのだろうか。
3 あなたのおしゃべりは人を黙らせる。
  あなたはあざけるが、
  だれもあなたを恥じさせる者がない。
4 あなたは言う。
  「私の主張は純粋だ。
  あなたの目にも、きよい。」と。
5 ああ、神がもし語りかけ、あなたに向かって
  くちびるを開いてくださったなら、
6 神は知恵の奥義をあなたに告げ、
  すぐれた知性を倍にしてくださるものを。
  知れ。神はあなたのために、
  あなたの罪を忘れてくださることを。

7 あなたは神の深さを見抜くことができようか。
  全能者の極限を見つけることができようか。
8 それは天よりも高い。あなたに何ができうよう。
  それはよみよりも深い。あなたが何を知りえよう。
9 それを計れば、地よりも長く、海よりも広い。
10 もし、神が通り過ぎ、
  あるいは閉じ込め、あるいは呼び集めるなら、
  だれがそれを引き止めえようか。
11 神は不真実な者どもを知っておられる。
  神はその悪意をみて、
  これに気がつかないであろうか。
12 無知な人間も賢くなり、
  野ろばの子も、人として生まれる。
13 もし、あなたが心を定め、
  あなたの手を神に向かって差し伸べるなら、
14 ――あなたの手に悪があれば、それを捨て、
  あなたの天幕に不正を住まわせるな。――
15 そうすれば、あなたは必ず、
  汚れのないあなたの顔を上げることができ、
  堅く立って恐れることがない。
16 こうしてあなたは労苦を忘れ、
  流れ去った水のように、これを思い出そう。
17 あなたの一生は真昼よりも輝き、
  暗くても、それは朝のようになる。
18 望みがあるので、あなたは安らぎ、  
  あなたは守られて、安らかに休む。
19 あなたが横たわっても、
  だれもあなたを脅かさない。
  多くの者があなたの好意を求める。
20 しかし悪者どもの目は衰え果て、
  彼らは逃げ場を失う。
  彼らの望みは、あえぐに等しい。
1 私は自分のいのちをいとう。
  私は自分の不平をぶちまけ、
  私のたましいの苦しみを語ろう。
2 私は神に言おう。
  「私を罪ある者となさらないように。
  なぜ私と争われるかを、知らせてください。
3 あなたが人をしいたげ、御手のわざをさげすみ、
  悪者のはかりごとに光を添えることは
  良いことでしょうか。
4 あなたは肉の目をもっておられるのですか。
  あるいは、人間が見るように、
  あなたも見られるのですか。
5 あなたの日々は人間の日々と同じですか。
  あるいは、あなたの年は人間の年と同じですか。
6 それで、あなたは私の咎をさがし、
  私の罪を探られるのですか。
7 あなたは、私に罪のないことを知っておられ、
  だれもあなたの手から
  救い出せる者はいないのに。
8 あなたの御手は私を形造り、造られました。
  それなのにあなたは私を滅ぼそうとしておられます。
9 思い出してください。
  あなたは私を粘土で造られました。
  あなたは、私をちりに帰そうとされるのですか。
10 あなたは私を乳のように注ぎだし、
  チーズのように固め、
11 皮と肉とを私に着せ、
  骨と筋とで私を編まれたではありませんか。
12 あなたはいのちと恵みとを私に与え、
  私を顧みて私の霊を守られました。
13 しかし、あなたはこれらのことを
  御心に秘めておられました。
  私はこのことがあなたのうちにあるのを
  知っています。
14 もし、私が罪と犯すと、
  あなたは私を待ちもうけておられ、
  私の咎を見のがされません。
15 もし、私が罪ある者とされるのなら、
  ああ、悲しいことです。
  私は正しくても、
  私の頭をもたげることはできません。
  自分の恥に飽き飽きし、
  私の悩みを見ていますから。
16 私の頭が上がると、あなたはたける獅子のように、
  私を駆り立て、
  再び私に驚くべき力をふるわれるでしょう。
17 あなたは私の前に
  あなたの新しい証人を立て、
  私に向かってあなたの怒りを増し、
  私をいよいよ苦しめられるでしょう。

18 なぜ、あなたは
  私を母の胎から出されたのですか。
  私が息絶えていたら、
  だれにも見られなかったでしょうに。
19 私が生まれて来なかったかのように、
  母の胎から墓に運び去られていたら
  よかったものを。
20 私の生きる日はいくばくもないのですか。
  それではやめてください。
  私にかまわないでください。
21 私が、再び帰らぬところ、
  やみと死の陰の地に行く前に。
22 そこは暗やみのように真暗な地、
  死の陰があり、秩序がなく、
  光も暗やみのようです。」   
1 ヨブは答えて言った。
2 まことに、
  そのとおりであることを私は知っている。
  しかし、どうして人は自分の正しさを
  神に訴えることができようか。
3 たとい、神と言い争おうと思っても、
  千に一つも答えられまい。
4 神は心に知恵のある方、力の強い方。
  神に身をこわくして、
  だれがそのままで済むだろうか。
5 神が山々を移されるが、
  だれもこれに気づかない。
  神は怒ってこれをくつがえされる。
6 神が地をその基から震わすと、
  その柱は揺れ動く。
7 神が太陽に命じると、それは上らない。
  星もまた封じ込められる。
8 神はただひとりで天を張り延ばし、
  海の大波を踏まれる。
9 神は牡牛座、オリオン座、すばる座、
  それに、南の天の室を造られた。
10 神は大いなることを行って測り知れず、
  その奇しいみわざは数えきれない。
11 たとい、神が私のそばを通り過ぎても、
  私には見えない。
  神が進んで行っても、私は認めることができない。
12 ああ、神が奪い取ろうとするとき、
  だれがそれを引き止めることができようか。
  だれが神に向かって、
  「何をされるのか」と言いえよう。

13 神は怒りを翻さない。
  ラハブを助ける者たちは、みもとに身をかがめる。
14 いったい、この私が神に答えられようか。
  私が神とことばを交わせようか。
15 たとい、私が正しくても、
  神に答えることはできない。
  私をさばく方にあわれみを請うだけだ。
16 たとい、私が呼び、
  私に答えてくださったとしても、
  神が私の声に耳を傾けられたとは、
  信じられない。
17 神はあらしをもって私を打ち砕き、
  理由もないのに、私の傷を増し加え、
18 私に息もつかせず、
  私を苦しみで満たしておられる。
19 もし、力について言えば、見よ、神は力強い。
  もし、さばきについて言えば、
  だれが私を呼び出すことができようか。
20 たとい私が正しくても、
  私自身の口が私を罪ある者とし、
  たとい私が潔白でも、
  神は私を曲がった者とされる。

21 私は潔白だ。
  しかし、私には自分自身がわからない。
  私は自分のいのちをいとう。
22 みな同じことだ。だから私は言う。
  神は、潔白な者をも悪者をも
  共に絶ち滅ぼされる。
23 にわか水が突然出て人を殺すと、
  神は罪のない者の受ける試練をあざける。
24 地は悪者の手にゆだねられ、
  神はそのさばきつかさらの顔をおおう。
  もし、神がそうするのでなければ、
  そうするのはだれか。
25 私の日々は飛脚よりも速い。
  それは飛び去って、しあわせを見ない。
26 それは葦の舟のように通り過ぎ、
  獲物に襲いかかるわしのように通り過ぎる。

27 たとい、「不平を忘れ、憂鬱な顔を捨てて、
  明るくなりたい。と私が言いましても、
28 私の受けたすべての苦痛を思うと、
  私はおびえます。
  私は知っています。あなたは、私を罪のない者とは
  してくださいません。
29 私はきっと、罪ある者とされましょう。
  ではなぜ、
  私はいたずらに労するのでしょうか。
30 たとい私が雪の水で身を洗っても、
  灰汁で私の手をきよめても、
31 あなたは私を墓の穴に突き落とし、
  私の着物は私を忌みきらいます。


32 神は私のように人間ではないから、
  私は「さあ、さばきの座にいっしょに行こう。」
  と申し入れることはできない。
33 私たちふたりの上に手を置く仲裁者が
  私たちの間にはいない。
34 神がその杖を私から取り去られるように。
  その恐ろしさで私をおびえさせないように。
35 そうすれば、私は語りかけ、神を恐れまい。
  いま私はそうではないからだ。 
        
 1 シュアハ人ビルダデが答えて言った。
2 いつまであなたはこのようなことを語るのか。
  あなたが口にすることばは激しい風のようだ。
3 神は公義を曲げるだろうか。
  全能者は義を曲げるだろうか。
4 もし、あなたの子らが神に罪を犯し、
  神が彼らを
  そのそむきの罪の手中に送り込まれたのなら、
5 もし、あなたが、熱心に神を求め、
  全能者にあわれみを請うなら、
6 もし、あなたが純粋で正しいなら、
  まことに神は今すぐあなたのために起き上がり、
  あなたの義の住まいを回復される。
7 あなたの始めは小さくても、
  その終わりははなはだ大きくなる。

8 さあ、先人の人に尋ねよ。
  その先祖たちの探求したことを確かめよ。
9 私たちはきのう生まれた者で、
  何も知らず、
  私たちの地上にある日は影だからである。
10 彼らはあなたに教え、あなたに語りかけ、
  その心からことばを出さないだろうか。

11 パピルスは沼地でなくても育つだろうか。
  葦は水がなくても伸びるだろうか。
12 これは、まだ若芽のときには刈られないのに、
  ほかの草に先だって枯れる。
13 すべて神を忘れる者の道はこうだ。
  神を敬わない者の望みは消えうせる。
14 その確信は、くもの糸。
  その信頼は、くもの巣だ。
15 彼が自分の家に寄りかかると、
  家はこれに耐えきれない。
  これにすがりつくと、
  それはもちこたえない。
16 彼が日に当たって青々と茂り、
  その若枝は庭に生えいで、
17 その根は石くれの山にからまり、
  それが岩間に生えても、
18 神がもし、その場所からそれを取り除くと、
  その場所は
  「私はあなたを見たことがない。」と否む。
19 見よ。これが彼の道の喜びである。
  ほかのものがその地から芽を出そう。

20 見よ。神は潔白な人を退けない。
  悪を行なう者の手を取らない。
21 ついには、神は笑いをあなたの口にみたし、
  喜びの叫びをあなたのくちびるに満たす。
22 あなたを憎む者は恥を見、
  悪者どもの天幕は、なくなってしまう。
1 地上の人には苦役があるではなか。
  その日々は日雇人の日々のようではないか。
2 日陰をあえぎ求める奴隷のように、
  賃金を待ち望む日雇人のように、
3 私にはむなしい月々が割り当てられ、
  苦しみの夜が定められている。
4 横たわるとき、私は言う。
  「私はいつ起きられるだろうか。」と。
  夜は長く、
  私は暁まで寝返りをうち続ける。
5 私の肉はうじと土くれをまとい、
  私の皮は固まっては、またくずれる。
6 私の日々は機の杼よりも速く、
  望みもなく過ぎ去る。
  
7 思い出してください。
  私のいのちはただの息であることを。
  私の目は再び幸いを見ないでしょう。
8 私を見る者の目は、
  私を認めることができないでしょう。
  あなたの目が私に向けられても、
  私はもういません。
9 雲が消え去ってしまうように、
  よみに下る者は、もう上ってこないでしょう。
10 彼はもう自分の家に帰らず、
  彼の家も、もう彼を認めないでしょう。

11 それゆえ、私も自分の口を制することをせず、
  私の霊の苦しみの中から語り、
  私のたましいの苦悩の中から嘆きます。
12 私は海でしょうか、海の巨獣でしょうか。
  あなたが私の上に見張りを置かれるとは。
13 「私のふしどが私を慰め、
  私の寝床が私の嘆きを軽くする。」と私が言うと、
14 あなたは夢で私をおののかせ、
  幻によって私をおびえさせます。
15 それで私のたましいは、むしろ窒息を選び、
  私の骨よりも死を選びます。
16 私はいのちをいといます。
  私はいつまでも生きたくありません。
  私にかまわないでください。
  私の日々はむなしいものです。
17 人とは何者なのでしょう。あなたがこれを選び、
  これに御心を留められるとは。
18 また、朝ごとにこれを訪れ、
  そのつどこれをためされるとは。
19 いつまで、
  あなたは私から目をそらされないのですか。 
  つばをのみこむ間も、
  私を捨てておかれないのですか。
20 私が罪を犯したといっても、
  人を見張るあなたに、
  私は何ができましょう。
  なぜ、私をあなたの的とされるのでしょう。
  私が重荷を負わなければならないのですか。
21 どうして、あなたは私のそむきの罪を赦さず、
  今、私はちりの中に横たわります。
  あなたが私を捜されても、
  私はもうおりません。    
    
1 ヨブは答えて言った。
2 ああ、私の苦悶の重さが量られ、
  私の災害も共にはかりにかけられたら。
3 それは、きっと海の砂よりも重かろう。
  だから、私のことばが激しかったのだ。
4 全能者の矢が私に刺さり、
  私のたましいがその毒を飲み、
  神の脅かしが私に備えられている。
5 野ろばは若草の上で鳴くだろうか。
  牛は飼葉の上でうなるだろうか。
6 味のない物は塩がなくて食べられようか。
  卵のしろみに味があろうか。
7 私はそんなものに触れるまい。
  それは私には腐った食物のようだ。

8 ああ、私の願いがかなえられ、
  私の望むものを神があたえてくださるとよいのに。
9 私を砕き、
  御手を伸ばして私を絶つことが
  神のおぼしめしであるなら、
10 私はなおも、それに慰めを得、
  容赦ない苦痛の中でも、こおどりして喜ぼう。
  私は聖なる方のことばを
  拒んだことがないからだ。
11 私にどんな力ががあるからといって、
  私は待たなければならないのか。
  私にどんな終わりがあるからといって、
  私は耐え忍ばなければならないのか。
12 私の力は石の力であろうか。
  私の肉は青銅であろうか。
13 私のうちには、何の助けもないではないか。
  すぐれた知性も
  私から追い散らされているではないか。

14 落胆している者には、その友から友情を。
  さもないと、彼は全能者への恐れを捨てるだろう。
15 私の兄弟たちは川のように裏切った。
  流れている川筋の流れのように。
16 氷で黒ずみ、
  雪がその上を隠している。
17 炎天のころになると、それはなくなり、
  暑くなるとその所から消える。
18 隊商はその道を変え、
  荒地に行って、滅びる。
19 テマの隊商はこれを目当てとし、
  シェバの旅人はこれに期待をかける。
20 彼らはこれにたよったために恥を見、
  そこまで来て、はずかしめを受ける。
21 今、あなたがたは、そのようになった。
  あなたがたは恐ろしいことを見ておびえる。
22 私が言ったことがあるか。
  「私に与えよ。」とか、
  「あなたがたの持ち物の中から、
  私のために贈り物をせよ。」と。
23 あるいは「敵の手から私を救い出せ。
  横暴な者の手から私を贖え。」と。

24 私に教えよ。そうすれば、私は黙ろう。
  私がどんなあやまちを犯したか、
  私に悟らせよ。
25 まっすぐなことばはなんと痛いことか。
  あなたがたは何を責めたてているのか。
26 あなたがたはことばで私を責めるつもりか。
  絶望した者のことばは風のようだ。
27 あなたがたはみなしごをくじ引きにし、
  自分の友さえ売りに出す。
28 今、思い切って私のほうを向いてくれ。
  あなた方の顔に向かって、
  私は決してまやかしを言わない。
29 どうか、思い直してくれ。
  不正があってはならない。
  もう一度、思い返してくれ。
  私の正しい訴えを。
30 私の舌に不正があるだろうか。
  私の口はわざわいをわきまえないだろうか。     
1 さあ、呼んでみよ。
  だれがあなたに答える者があるか。
  聖者のうちのだれに
  あなたは向かって行こうとするのか。
2 憤りは愚か者を殺し、
  ねたみはあさはかな者を死なせる。
3 私は愚か者が根を張るのを見た。
  しかし、その住みかは、たちまち腐った。
4 その子たちは危険にさらされ、門で押しつぶされ、
  彼らを救い出す者もいない。
5 彼の刈り入れる物は飢えた人が食べ、
  いばらの中からさえこれを奪う。
  渇いた者が彼らの富をあえぎ求める。
6 なぜなら、不幸はちりから出て来ず、
  苦しみは土から芽を出さないからだ。
7 人は生まれると苦しみに会う。
  火花が上に飛ぶように。
8 私なら神に尋ね、私のことを神に訴えよう。
9 神は大いなる事をなして測り知れず、
  その奇しいみわざは数えきれない。
10 神は地の上に雨を降らし、
  野の面に水を送る。
11 神は低い者を高く上げ、
  悲しむ者を引き上げて救う。
12 神は悪賢い者のたくらみを打ちこわす。
  それで彼らの手は、何の効果ももたらさない。
13 神は知恵のある者を
  彼ら自身の悪知恵を使って捕える。
14 彼らは昼間にやみに会い、
  真昼に、夜のように手さぐりする。
15 神は貧しい者を剣から、彼らの口から、
  強い者の手から救われる。
16 こうして寄るべのない者は望みを持ち、
  不正はその口をつぐむ。

17 ああ、幸いなことよ。神に責められるその人は。
  だから全能者の懲らしめを
  ないがしろにしてはならない。
18 神は傷つけるが、それを包み、
  打ち砕くが、その手でいやしてくださるからだ。
19 神は六つの苦しみからあなたを救い出し、
  七つ目のわざわいはあなたに触れない。
20 ききんのときには死からあなたを救い、
  戦いのときにも剣の力からあなたを救う。
21 舌でむち打たれるときも、あなたはそれを恐れない。
22 あなたは破壊とききんとをあざ笑い。
  地の獣をも恐れない、。
23 野の石とあなたは契りを結び、
  野の獣はあなたと和らぐからだ。
24 あなたは自分の天幕が安全であるのを知り、
  あなたの牧場を見回っても何も失ってない。
25 あなたは自分の子孫が多くなり、
  あなたのすえが地の草のようになるのを知ろう。
26 あなたは長寿を全うして墓にはいろう。
  あたかも麦束がその時期に収められれるように。
27 さあ、わたしたちが調べ上げたことはこのとおりだ。
  これを聞き、あなた自身でこれを知れ。   
 1その後、ヨブは口を開いて自分の生まれた日をのろった。
2ヨブは声を出して言った。
3 私の生まれた日は滅びうせよ。
  「男の子が胎に宿った。」と言ったその夜も。
4 その日はやみになれ。
  神もその日を顧みるな。
  光もその上を照らすな。
5 やみと暗黒がこれを取り戻し、
  雲がこの上にとどまれ。
  昼を暗くするものもそれをおびやかせ。
6 その夜は、暗やみがこれを奪い取るように。
  これを年の日のうちで喜ばせるな。
  月の数のうちにも入れるな。
7 ああ、その夜は、はらむことのないように。
  その夜には喜びの声も起こらないように。
8 日をのろう者、
  レビヤタンを呼び起こせる者が
  これをのろうように。
9 その夜明けの星は暗くなれ。
  光を待ち望んでも、それはなく、
  暁のまぶたのあくのを見ることがないように。
10 それは、私の母の胎の戸が閉じられず、
  私の目から苦しみが隠されなかったからだ。

11 なぜ、私は、胎から出たとき、死ななかったのか。
  なぜ、私は、生まれたとき、
  息絶えなかったのか。
12 なぜ、ひざが私を受けたのか。
  なぜ、私の吸う乳房があったのか。
13 今ごろ、私は安らかに横になり、眠って休み、
14 自分たちのためにあの廃墟を築いた
  この世の王たち、また議官たち、
15 あるいは黄金を持ち、自分の家を銀で満たした
  首長たちといっしょにいたことであろうに。
16 それとも、私は、
  ひそかにおろされた流産の子のよう、
  光を見なかった嬰児のようではなかったのか。
17 かしこでは、悪者どもはいきりたつのをやめ、
  かしこでは、力のなえた者はいこい、
18 捕われ人も共に休み、
  追い使う者の声も聞かない。
19 かしこでは、下の者も上の者も同じで、
  奴隷も主人から解き放たれる。

20 なぜ、苦しむ者に光が与えられ、
  心の痛んだ者にいのちが与えられるのだろう。
21 死を待ち望んでも、死は来ない。
  それを掘り求めても、
  隠された宝を掘り求めるのにすぎないとは。
22 彼らは墓を見つけると、
  なぜ、歓声をあげて喜び、楽しむのだろう。
23 神が囲いに閉じ込めて、
  自分の道が隠されている人に、
  なぜ、光が与えられるのだろう。

24 実に、私には食物の代わりに嘆きが来て、
  私のうめき声は水のようにあふれ出る。
25 私の最も恐れたものが、私を襲い、
  私のおびえたものが、
  私の身にふりかかったからだ。
26 私には安らぎもなく、
  休みもなく、いこいもなく、
  心はかき乱されている。 

 
  
 1 ある日のこと、神の子らが主の前に来て立ったとき、サタンもいっしょに来て、主の前に立った。
2 主はサタンに仰せられた。「おまえはどこから来たのか。」サタンは主に答えて言った。「地を行き巡り、そこを歩き回って来ました。」
3 主はサタンに仰せられた。「おまえはわたしのしもべヨブに心を留めたか。
彼のように潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっている者はひとりも地上にはいない。彼はなお、自分の誠実を堅く保っている。おまえは、わたしをそそのかして、何に理由もないのに彼を滅ぼそうとしたが。」
4 サタンは主に答えて言った。「皮の代わりには皮をもってします。人は自分のいのちの代わりにはすべての持ち物を与えるものです。
5 しかし、今あなたの手を伸べ、彼の骨と肉とを打ってください。彼はきっとあなたをのろうに違いあるません。」
6 主はサタンに仰せられた。「では、彼をおまえはの手に任せる。ただ彼のいのちには触れるな。
 7 サタンは主の前から出て行き、ヨブの足の裏から頭の頂まで、悪性の腫物で彼を打った。
8 ヨブは土器のかけらを取って自分の身をかき、また灰の中にすわった。
9 すると彼の妻が彼に言った。「それでもなお、あなたは自分の誠実を堅く保つのですか。神をのろって死になさい。」
10 しかし彼は彼女に言った。「あなたは愚かな女が言うようなことを言っている。私たちは幸いを神から受けるのだから、わざわいをも受けなければならないではないか。ヨブはこのようになっても、罪を犯すようなことを口にしなかった。
 11 そのうちに、ヨブの三人の友は、ヨブに降りかかったこのすべてのわざわいのことを聞き、それぞれ自分の所からたずねて来た。すなわち、テマン人エリファズ、シュアハ人ビルダデ、ナアマ人ツォファルである。彼らはヨブに悔みを言って慰めようと互いに打ち合わせて来た。
12 彼らは遠くから目を上げて彼を見たが、それがヨブであることが見分けられないほどだった。彼らは声をあげて泣き、おのおの、自分の上着を引き裂き、ちりを天に向かって投げ、自分の頭の上にまき散らした。
13 こうして、彼らは彼とともに七日七夜、地にすわっていたが、だれも一言も彼に話しかけなかった。彼の痛みがあまりにもひどいのを見たからである。


 1 ウツの地にヨブという名の人がいた。この人は潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっていた。
2 彼には七人の息子と三人の娘が生まれた。
3 彼は羊七千頭、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭、それに非常に多くのしもべを持っていた。それでこの人は東の人びとの中で一番の富豪であった。
4 彼の息子たちは互いに行き来し、それぞれ自分の日に、その家で祝宴を開き、人をやって彼らの三人の姉妹も招き、彼らといっしょに飲み食いするのを常としていた。
5 こうして祝宴の日が一巡すると、ヨブは彼らを呼び寄せ、聖別することにしていた。彼らは翌朝早く、彼らひとりひとりのために、それぞれの全焼のいけにえをささげた。ヨブは「私の息子たちが、あるいは罪を犯し、心の中で神をのろったかもしれない。」と思ったからである。ヨブはいつもこのようにしていた。
 6 ある日、神の子らが主の前に来て立ったとき、サタンも来てその中にいた。
7 主はサタンに仰せられた。「おまえはどこから来たのか。」サタンは主に答えて言った。「地を行き巡り、そこを歩き回って来ました。」
8 主はサタンに仰せられた。「お前はわたしのしもべヨブに心を留めたのか。彼のように潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっている者は地上にはいないのだが。」
9 サタンは主に答えて言った。「ヨブはいたずらに神を恐れましょうか。
10 あなたは彼と、その家とそのすべての持ち物との回りに垣を巡らしたではありませんか。あなたが彼の手のわざを祝福されたので、彼の家畜は地に増え広がっています。
11 しかし、あなたの手を伸べ、彼のすべての持ち物を打ってください。彼はきっと、あなたに向かってのろうに違いありません。」
12 主はサタンに仰せられた。「では、彼のすべての持ち物をおまえの手に任せよう。ただ彼の身に手を伸ばしてはならない。」そこで、サタンは主の前から出て行った。
 13ある日、彼の息子、娘たちが、一番上の兄の家で食事をしたり、ぶどう酒を飲んだりしていたとき、
14 使いがヨブのところに来て言った。「牛が耕し、そのそばで、ろばが草を食べていましたが、
15 シェバ人が襲いかかり、これを奪い、若い者たちを剣の刃で打ち殺しました。私ひとりだけがのがれて、お知らせするのです。」
16 この者がまだ話している間に、他のひとりが来て言った。「神の火が天から下り、羊と若い者たちを焼き尽くしました。私ひとりだけがのがれて、お知らせするのです。」
17 この者がまだ話している間に、また他のひとりが来て言った。「カルデヤ人が三組になって、らくだを襲い、これを奪い、若い者たちを剣の刃で打ち殺しました。私ひとりだけがのがれて、お知らせするのです。」
18 この者がまだ話している間に、また他のひとりが来て言った。「あなたのご子息や娘さんたちは一番上のお兄さんの家で、食事をしたりぶどう酒を飲んだりしておられました。
19 そこへ荒野のほうから大風が吹いて来て、家の四隅を打ち、それがお若い方々の上に倒れたのでみなさまは死なれました。私ひとりだけがのがれて、あなたにお知らせするのです。」
20 このとき、ヨブは立ち上がり、その上着を引き裂き、頭をそり、地にひれ伏して礼拝し、
21 そして言った。
   「私は裸で母の胎から出て来た。
   また、裸で私はかしこに帰ろう。主は与え、主は取られる。
   主の御名はほむべきかな。」
22 ヨブはこのようになっても罪を犯さず、神に愚痴をこぼさなかった。 




 あからさまに責めるのは、
 ひそかに愛するのにまさる。
 17節 友はどんなときにも愛するものだ。
     兄弟は苦しみを分け合うために生まれる。




 27節 自分のことばを控える者は知恵に富む者。
     心の冷静な人は英知のある者。


 28節 愚か者でも、
     黙っていれば、知恵のある者と思われ、
     そのくちびるを閉じていれば、
     悟りのある者と思われる。
 なまけ者よ。いつまで寝ているのか。

 いつ目を覚まして起きるのか。


                     箴言6章9節

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